美容師として働いている人のなかには、いつか独立して自分のお店を持ちたいという夢を持っている人もいるでしょう。
しかしその夢を実現させるためには、開業のための資金を準備しないといけません。
今回は、美容室を開業するためにかかる費用とその内訳、資金調達の方法などについて、詳しく解説します。
美容室開業にかかる費用と内訳
美容室の開業は、主に以下のような手順で行います。
- 資金調達・準備
- お店のコンセプト・事業計画の作成
- 物件探し、契約
- 内装工事、備品を揃える
- 宣伝、集客準備をする
- 賠償保険の加入、保健所の営業許可の取得
これらの手順で最も大事なのは、すべてのもとになる資金の準備です。
では、開業資金は具体的にどのような内訳となっているのでしょうか。
次の項目より、開業のための資金の内訳・費用相場についてみていきましょう。
物件取得にかかる費用

美容室は主にテナントを借りて営業します。自分に適したテナントを見つけて不動産屋と契約した場合、以下のような費用がかかります。
- 保証金(家賃の3〜12ヵ月分)
- 空家賃(オープン前にかかる家賃1〜2ヶ月分)
- 礼金(家賃の1〜2ヶ月分)
- 仲介手数料(家賃1ヵ月分)
- 保証会社手数料(家賃1ヶ月分)
これら物件取得にかかる費用の総額は、150万〜200万円ほどが相場です。
内装・外装工事にかかる費用

物件を取得したら次にやるべきことは、自分好みに内装・外装を改築・修繕する作業です。
テナントが以前美容室だった居抜き物件であれば、そのまま鏡や椅子などの備品を使用すればいいので、費用はそれほどかかりません。
しかし、室内や各種備品が使い込まれて劣化していた場合、修理をしなくてはいけないので結果的に費用はかかるでしょう。
そのため、内装・外装工事は手を抜かずにしっかりと行わなくてはいけません。
内装・外装工事にかかる費用は、400万〜500万円ほどが相場です。
美容機器、材料にかかる費用

美容室開業をする場合、美容室でしか使わない独自の機器も用意しなくてはいけません。
美容室に置かれる主な機器は以下の通りです。
- 鏡台
- シャンプー台
- スタイリングチェア
- トリートメント・パーマで使う専用機材
- ドライヤー
- ワゴン
また、シャンプーやリンス、トリートメント、パーマ液、タオルなども準備しなくてはいけません。
これらすべてを揃えた際にかかる費用は、100〜200万円が相場となっています。
その他の設備
美容室を運営するためには、美容作業に必要な専門機器だけでなく、連絡や経理など事務的な作業に使用する設備も整えなくてはいけません。具体的な設備は主に以下になります。
- 電話・ファックス
- レジ
- パソコン
- 事務用品(文房具など)
これらを揃えた場合、かかる費用相場は25万〜60万円ほどです。
宣伝・求人にかかる費用

美容室開業の準備が進んだ場合、次にやるべきことはオープンを知らせる宣伝、人材確保のための求人広告を出すことです。宣伝方法は以下のような方法があります。
- web上に広告を出す、自身でサイトをオープンして情報発信
- チラシ配り
- 紙媒体に広告を出す
求人は、1人で営業する場合・人材をすでに確保している場合は問題ないですが、人材が必要な場合は求人案内を出さなくてはいけません。
宣伝・求人広告にかかる費用相場は25万〜50万円ほどです。
ランニングコスト

家賃や光熱費、通信費など、月々にかかるランニングコストの資金も用意しなくてはいけません。
開業直後は必ず集客が見込める保証はないので、ある程度赤字になっても問題ないように、最低限の運転資金を準備する必要があります。
ランニングコストにかかる費用は、200〜400万円です。
これら開業のためにかかる費用を合計すると、平均して1,000万〜2,000万円は開業資金として準備しなくてはいけません。
美容室の開業費用は高額!どうやって用意する?

美容室の開業資金である1,000万〜2,000万円は、決して簡単には用意できない金額です。
では、美容室を開業した方々は、どのようにして開業資金を用意したのでしょうか。
資金準備の方法を、以下より紹介しましょう。
自分の貯金額、親族、知り合いから借りる
美容室開業の資金調達で最良なのが、自分の蓄えを利用することです。
これなら誰の世話にもならず借入で発生する利息払いの必要もありません。ただし、美容室開業・運営以外の普段の生活がひっ迫する可能性があります。
また、親や知り合いなどからお金を借りることも、資金調達の手段のひとつです。しかし開業資金は高額なので簡単に貸してくれる人を探すのは難しいでしょう。
銀行からの融資
開業において強い味方となってくれるのが、銀行の融資です。しかし銀行の融資は企業としてすでに実績のある場合、または開業前でも確かな収益が見込める場合でないと、なかなか融資をしてくれません。
銀行などの金融機関は、融資希望者がいかに安定した収入が保証されているかを審査します。
返済の延滞・滞納が発生するリスクを回避できるかどうかを確認するのです。
美容師の開業の場合、その美容室が確実に繁盛するかどうかの保証はないので融資申請をしても融資実現は難しいといえるでしょう。
日本政策金融公庫
美容室開業などの実績のない開業の資金調達において、強い味方となってくれるのが「日本政策金融公庫」です。
日本政策金融公庫は、民間の金融機関と異なり国が出資している機関で以下のような特徴があります。
- 実績がない場合も、審査が通りやすい
- 銀行などの金融機関より金利が低い
- 保証人を用意しなくてもいい
申し込みは公式サイト経由であれば、24時間いつでも可能で電話などでの事前相談も可能です。
公式サイト:日本政策金融公庫
美容室開業で資金調達を確実に行うためのポイント
資金調達をする際は、審査が優しく金利も低い日本政策金融金庫の利用がおすすめです。
しかし、公庫がいくら審査が厳しくないからといっても、基準をクリアしないと審査通過は達成できません。
では、資金調達を確実に実現するための秘訣とは何か、次より紹介しましょう。
事業計画をしっかりと伝える
日本政策金融公庫の審査を受ける前に、美容室運営のための事業計画書をしっかりと作成して提出しましょう。
今後のビジョンもなくただお金がないから貸してくれと頼んだところで、確実に審査は通過できないでしょう。
今後予想される集客の見込み、予想収益、月々のランニングコスト、集客できなかった場合の打開策などを、簡潔に事業計画書にまとめて提出をしましょう。
事業計画書の完成度が高いほど信頼できる人間だと認められて、審査通過が実現します。
信用情報をクリーンにしておく
借金などがある場合、信用情報を少しでもきれいにしておきましょう。信用情報とは、過去の借入、公共料金・税金の支払いなどの履歴すべてを管理している信用情報機関に記録されている情報です。
日本政策金融公庫は、審査の際にこの情報を確認して審査通過するかどうかを決定します。公庫に申し込む前に少しでも未払いのものを支払って、信用情報をクリーンにしておきましょう。
ある程度は自己資金も準備しておく
審査の通過しやすい日本政策金融公庫とはいえ、自己資金ゼロの人間に開業資金100%を融資することはありません。自己資金ゼロの人間は社会的信用度が低いので、審査通過は難しいでしょう。そのため、ある程度の自己資金は前もって準備しなくてはいけません。
必要な自己資金は開業資金総額の30%ほどです。開業資金1,000万円の場合、300万円ほどの準備が必要です。
まとめ
美容室の従業員から独立して、自分のお店を持ちたい場合、開業までの手順・開業資金の総額・内訳、資金調達方法などを、しっかりと頭に入れておくことが大事です。
お店の構想から開業までの流れを把握して、流れのなかでどの部分に時間がかかるのか、理解することが重要といえます。
手間のかかるお金の問題を解決して、理想の美容室開業を実現しましょう!