美容師として働くには、専門の免許取得が必須です。では、美容師になるための資格はどのような方法で取得するのでしょうか。
今回は、美容師資格免許の取得方法、取得までにかかる期間や費用などについて、詳しく解説していきましょう。
そもそも美容師免許とはなに?国家資格?
美容師免許とはいったいどのような性質の資格なのでしょうか。
以下より美容師免許の詳細について説明します。
美容師免許と理容師免許の違い
美容師と同じ意味合いで使用される言葉が「理容師」です。どちらも厚生省が認定する国家資格ですが、理容師は主に「髪を切る・刈り込む」「髭を剃る」のみを行うのが業務内容です。
髭を剃るための刃物類の使用は理容師のみが認められており、美容師は刃物を使ってはいけません。一般的に「床屋」「理髪店」といわれているお店が、理容師のいるお店です。
美容師免許でできること
美容師は、ヘアカット以外にお客様をきれいに美しくするための様々な業務を担当します。
ヘアカット以外では、パーマ施術・ヘアカラー・ヘアメイク、まつエクなどが可能です。
お店によっては、着付けやネイルなども行っています。
美容師になるには何年かかる?
美容師になるために必須である美容師免許は、取得するまでにどれくらいの期間が必要なのでしょうか。
次の項目で解説していきます。
美容師免許取得までに必要な期間
美容師になるには、
美容専門学校に通って課程終了 → 試験を受験して合格すれば資格免許取得
という流れです。
専門学校のコースはいくつかの種類があり、種類によって以下のようにかかる期間は異なります。
- 昼間課程:2年
- 夜間課程:2年
- 通信課程:3年
- 高等課程:3年
課程終了後は、毎年2〜3月に実技・筆記試験 → 合格後に免許申請 → 1ヶ月ほど経過した後、免許取得という流れです。
美容師資格免許の取得は、早くて2年ほどかかります。
美容師免許取得してから、アシスタント→スタイリストに昇格するまでの期間は?
美容師の免許取得を達成すれば、晴れて美容室で働くことができます。
しかし、美容室に就職したからといって、いきなりお客様を任されてカットやパーマ、ヘアメイクなどができるわけではありません。
美容室で働き始めたときは「アシスタント」というランクから始めます。
アシスタントとは助手・見習いのランクでいわゆる下積みの期間です。
先輩美容師の指示のもとにあらゆる業務のサポート、備品の運び出し、室内の掃除など雑用全般をこなします。
アシスタントは、先輩たちの仕事をサポートしつつ少しずつ仕事を覚えてきたら、その次のランクであり、お客様1人のカット・ヘアメイクを担当する「スタイリスト」に昇格します。
アシスタントからスタイリストに昇格するまでにかかる期間は、平均して3年ほど。
なかには1〜2年ほどでスタイリストになれる人、5年以上経過してもいまだアシスタントの人もいます。
学校に通わず、バイト扱いのアシスタントとして実務経験は積める?学校に通わなくても美容師になれる?
美容師免許を取得していなくても、美容師になること・美容室で働くことは可能なのでしょうか。
結論から述べると「美容室で働くことは免許未取得でも可能、しかし美容師が行う一連の施術を無免許で行う、また無免許の人間に美容師の施術をさせているお店は違法」となります。
美容室の中で経験が少ないアシスタントは、免許取得をしていながら技術・接客スキルが未熟である場合が多いため、美容師が行う一連の施術は行えないことがほとんどです。
アシスタントが行う業務はサポート・雑用全般であり、特別なスキルがなくてもこなせる作業も多くあります。
そのため、美容室が無免許の人間を雇ってアシスタントの仕事をさせても、美容師に関する法律である「美容師法」の違反行為にはなりません。
しかし、無免許の人間がカットやヘアメイク・カラーリングなどの一連の施術を行った場合、それらの施術は免許所持者でないとできない施術なので、美容師法の違反行為です。
無免許者が美容師の一連の施術をした場合、以下のような罰則が待っています。
また、無免許の人間に美容施術をさせていた美容室も、信用度を落として今後の運営に悪影響を与えるでしょう。
美容師免許を取得する方法は?
美容師免許を取得するためには、具体的にどのような条件があるのでしょうか。
- 美容師免許取得のための条件
- 中卒でも美容師になることは可能か
- 美容師学校の通学は必須か、入学のための条件とは
この3つのポイントについて、以下より解説していきます。
美容師免許を取得するための条件
国家試験である美容師資格免許を取得するには、試験は誰でも受けられるわけではありません。
試験を受験するためには「美容師学校の過程を修了して卒業していること」という条件があります。
厚生労働省が制定した美容師法によると、受験資格は以下のような条件が挙げられています。
- 高等学校を卒業
- 厚生労働大臣の認可を受けた専門学校(美容師養成施設)にて学科・実習を修了
上記にある通り厚生労働大臣指定の美容師学校を卒業する必要があります。
そのため、ヘアメイクなどを教えるスクールに通って技術を習得しても、資格試験を受けることはできません。
資格取得のための学校は「厚生労働大臣指定校」という表記がされているため、しっかりと確認することが大事です。
中学生(中卒)で美容師になるには?
美容師免許の試験は美容学校の卒業が必須ですが、上記に挙げた美容師法によると入学条件は高卒以上とあります。
では、中卒の場合、試験を受けられず美容師になることは不可能なのでしょうか。
結論からいうと、中卒でも美容師になることは可能です。
中卒で美容師になるためには、以下のような3通りの方法があります。
- 高等学校卒業程度認定試験を受験して合格する
- 高等課程のある美容師学校に入学して課程を修了する
- 中卒を受け付けている通信課程に入学して課程を修了する
高卒認定に合格すれば、最終学歴は中卒でも高卒同様、あるいは高卒以上の実力がある証明になるため、美容学校に入学することが可能になります。
また、美容学校のなかには、高等課程・通信課程を用意している学校もあり、この2タイプの課程は中卒でも入学可能です。
高等課程は、美容学校の一般課程に加えて、高校の科目も用意されています。
ただし、すべての美容師学校に高等課程が用意されているわけではないため、どの学校に高等課程があるのかしっかりと調べる必要があります。
中卒でも入学でき、美容師学校の課程も受けられる学校は「美容専修学校(高等専修学校)」と呼ばれる学校です。
就学期間は3年間になる場合がほとんどです。卒業すると高等学校卒業と同等にあたることに加え、美容免許試験に受験することもできます。
また、通信課程も高卒以上という条件がない場合がほとんどなので、最終学歴が中卒でも問題ありません。
美容学校の通信課程は最終学齢が中卒でも入学できます。
就学過程を遠隔で受講し、定期的にレポートを提出する形で学びます。
「昼間は美容室で免許が不要な業務をこなしながら夜間は通信課程の勉強する。」という形で免許取得まで学ぶ人も少なくありません。
また、通信課程にもスクーリング制度があり、年に数回は学校へ通学する必要もあります。
普段は一人で学び進めなければなりませんが、スクーリング時に講師へ直接相談することができるので貴重な機会になります。
美容師学校通信課程の学費相場は?
美容師学校の通信課程は、通学タイプの美容師学校(昼間課程・夜間課程)よりも学費が安いというメリットがあります。
昼間課程・夜間課程は2年間で約200万円ほどかかりますが、通信課程の場合は3年間で約50万円~70万円程度。
1年間あたり20万円以下に収まるのでアルバイトをして自分で学費を払いながら就学することも可能です。
美容師学校は必須?美容師学校に入学するための条件は?
先述した通り、美容師になるためには美容師学校での課程修了は必須で、この条件をクリアしないと資格試験の受験ができません。
では、美容師学校に入学するための条件とは何があるのでしょうか。
美容師学校(昼間課程・夜間課程)は高卒以上であること、そして入試に合格しないと入学できません。
入試のパターンは3つあります。
- AO入試(面談など)
- 推薦入試(高校生活の内容を重視)
- 一般入試(小論文、作文のテスト、筆記試験、面談)
どの入学試験もそれほど難易度は高くないため、一般的な学力・常識・マナーがあれば、まず落ちることはないでしょう。
美容師学校入学にかかる費用・学費・卒業までの費用相場は?
美容師学校にかかる費用は課程ごとに異なります。卒業までにかかる費用相場は以下の通りです。
- 昼間課程:200万〜300万円
- 夜間課程:150万〜200万円
- 通信課程:50万〜70万円
- 高等課程:200〜250万円
学費に困っている場合、日本学生支援機構の奨学金制度、国や金融機関の教育ローン、学校独自の学費支援制度などの利用が可能です。
まとめ
美容師は、衛生面などが重要視される仕事であるため、国家資格の合格をする必要があり、誰でも簡単になれる職種ではありません。
美容師を目指している人は、どのような条件をクリアするのか、しっかりと覚えておきましょう。